平成30年第3回南関町議会定例会の開会に当たり、平成30年度補正予算案、その他諸議案のご審議をお願いいたしますとともに、本年2月に町長、町議選挙が執行されたために、本定例会で施政方針を申し述べ、議員の皆様並びに町民の皆様に一層のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
平成30年2月に町長・町議選挙が執行され、17期南関町議会議員の皆様とは、初めての新しい年度を迎えております。
昨年は、比較的災害が少ない穏やかな年ではなかったかと思っておりますが、一昨年の熊本地震、南関町で年末に発生した高病原性鳥インフルエンザなどと、災害等はいつどこで発生するかが分からないものであり、常日頃からの危機管理体制の確立が重要なことを肝に銘じておかなければならないと考えているところであります。
さて、国においては、先進国で最悪の状態にある財政を立て直すため、新たな財政健全化計画の策定に着手したところであります。国債に頼らずに政策経費を賄える状態を表す「基礎的財政収支の黒字化」についても、達成目標を2020年度から2025年度に遅らせる見通しとなるようであります。
2018年度予算では、歳出規模が6年連続で過去最大を更新しており、歳入では、景気拡大を追い風に税収を8年連続増と見込み、新規国債の発行額も昨年度同様30兆円台と8年連続減とし、歳出では、看板政策と掲げる「人づくり革命」と「生産性革命」のための施策に重点配分されています。
歳出項目別では、歳出の3割以上を占める社会保障費が1.5%増の約33兆円と過去最大を更新しており、地方税収の不足分を補う地方交付税は、2.0%減の16兆円となっており、交付税の減額は、6年連続となります。
そのような中で、自治体の貯金にあたる基金残高の増加を理由とする交付税の抑制が見送られたことは、喜ばしいことであります。
関係国との協議が続けられてきたTPP11は、新協定に署名がされており、これからのアメリカの動きはありますが、関連法案も今国会での成立も確実となったため、特に農業関係者には厳しい状況が予想される中で、今後の国の対応を期待するところであります。
また、一億総活躍社会の実現に向けた地方創生のための施策が続けられており、まち・ひと・しごと創生事業費は、今年度も引き続き1兆円が確保されることになりますが、本町においても、町の特色を活かした事業の展開を継続していく必要があります。
このような中で、本町の人口は、昨年末に1万人を切り、高齢化率も37%を超えるような状況となっておりますが、町の継続的な発展のためには、行財政改革による無駄の排除、更なる自主財源の確保に努めなければなりません。
特に、今年度も国全体の地方交付税配分額が減額されるため、柔軟に対応できる財政構造の構築と、中・長期的な計画を見据えた事業の展開が必要となります。
厳しい状況が続くことになりますが、地域住民の皆様方が安全安心で心豊かに暮らせるような質の高い行政運営を行っていくことは、行政の責務であり、信頼される自治体として、分権時代にふさわしい行政サービスの提供に努めていきたいと考えております。
本年度は、国県の動き等も含めて柔軟かつ弾力的に対応しつつ、最小の経費で最大の効果を上げることができるような事業を推進するとともに、住民福祉の向上に努めて参ります。
平成30年度の一般会計歳入歳出予算等については、3月の第2回議会定例会において議決いただきましたが、町長・町議選挙の関係で骨格予算となっておりましたので、本定例会で本年度の中心となる事業の予算を追加し、ご提案させていただきたいと思います。
そこで、今回ご提案申しあげております平成30年度一般会計補正予算などでございますが、歳出全般にわたり細部までの検討を行い、経営の効率化、コストの削減を念頭におきながら歳出の抑制に努め、目的に沿った費用対効果を重視し、重要政策課題に重点を置いた編成を行ったところでございます。
平成30年度南関町一般会計補正予算は、総務費の一般管理費・管内図データ作成業務委託料30,702千円、土木費の道路新設改良費・測量設計委託料48,855千円、改良舗装工事130,929千円、住宅管理費・営繕工事32,480千円、消防費の消防施設費・防火水槽建設工事12,000千円など、408,646千円を追加し、一般会計予算の総額を6,092,209千円としているところであります。
参考ではありますが、昨年同時期の一般会計予算総額は、6,124,094千円でありました。
その他の議案の提出については、繰越明許費の繰越報告についてが3件、南関町税条例等の一部を改正する条例など、条例、予算の専決処分の報告及び承認を求めることについてが5件、南関町課設置条例の一部を改正する条例の制定が1件、平成30年度一般会計補正予算のほか各特別会計の補正予算が4件、町道の路線認定についてが1件を提案しています。
ご審議のうえ、ご承認賜わりますようお願い申し上げます。
それでは、平成30年度の主要な施策について申し上げます。
まず、総務課関係では、今後一層の事務の効率化、合理化を図るとともに、職員の研修等を強化し、住民から信頼される職員となるべく、資質向上に努めます。
また、本年度より2年間の熊本県との人事交流を開始しており、各種研修会への参加をはじめ、職員の能力向上及び組織力の向上にも努めて参りたいと考えております。
人事評価制度については、平成28年度から開始しておりますが、職員の人材育成に係る意識改革を行うことを目的とした人事評価を行い、職場全体の総合力の向上にも繋げたいと考えております。
区長制度については、各校区で小規模行政区の再編・統合の動きが出てきており、区民が減少してもお互いが支え合えるような行政区となるとともに、当該地域に在住のすべての住民を区民とし、「自主防災組織」の活動強化など、地域が一体となった組織を目指し、将来的には、全世帯の自治会加入を目標にしたいと考えております。
また、町職員による地域づくり応援職員制度については、業務とボランティアの関係からも難しい問題ですが、期間をかけてでも、町職員の公共的活動への参加協力体制の実現を図りたいと考えております。
災害に負けないまちづくりの実現については、各地域の自主防災組織を充実させ、本年3月に完成した総合防災マップ等を活用した避難体制を強化するとともに、防災行政無線デジタル化に向けての準備、災害等の非常時にいつでも対応できるような防災拠点、ネットワークの確立に努めます。
ふるさと応援寄付金については、平成29年度に初めて1億円を突破するなど、好調な動きが続いておりますが、返礼品や額に対する国からの指導もあっており、ふるさと応援団との調整・連携を図りながら、全国の南関町を応援してくださる方々への情報発信を強化し、更なる寄付金の増加を目指します。
次に、まちづくり課関係では、「第2期住んでよかったプロジェクト推進事業」の推進により、小学生の児童数が増加に転じるなど、一定の効果も見えてきておりますが、この数値に満足することなく、引き続き、子育て支援、定住対策等を図って行くこととします。
転入希望者からの要望が多い「空き家バンク事業」も、今年度は3回目の空き家調査を実施することとしており、区長さんをはじめ、地域おこし協力隊員や関係者との調整を積極的に行い、受け入れ態勢の強化を図るとともに、危険家屋への対策を進めます。
また、地域おこし協力隊員も2年目を迎えますので、「空き家バンク事業」、「ふるさと応援寄付金事業」などを中心に、町の情報発信の要となるような活動を期待するものであります。
グリーンヒル二城の分譲については、現在、16区画中12区画が分譲済みとなり、残り4区画については、2区画を一括購入できるような条例の一部改正も活用し、町外にお住まいの方や町内企業等にも幅広いPRを行い、早期分譲ができるように努めて参ります。
昨年4月から本格運行を開始しました乗り合いタクシー事業については、5月末で、利用登録者が1,473人、1日平均の利用者も40人程となっており、高齢者等におかれては、かなりの割合で登録されているため、今後も利用者の意見を反映した交通体系の充実に努めるとともに、町全体の公共交通の調整を図っていきます。
地方創生拠点整備交付金を活用し建設した加工品開発センターは、本年度からが本格的な動きとなるため、指定管理者である「南関ふるさと応援団」との連携を密にし、多くの関係者に利用していただき、地域資源を活用した新たな加工品開発を推進します。
また、加工品の開発・販路開拓により、所得の向上及び人材の育成に努めるとともに、六次産業化の推進を図ります。
2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の放送に向けましては、玉名市、和水町との地域振興協議会を中心とし、金栗四三氏ゆかりの地として、関係地域の広報・PRを行うとともに、観光の振興、地域の活性化に繋げていきたいと考えています。
庁舎の建設等も含めたコンパクトシティ構想については、熊本県からの土地・建物等の無償譲渡も完了し、30年度は、庁舎等の実施設計、必要としない建物の解体、進入道路、防災施設等の整備に着手することとしており、ワークショップの開催など、地域住民の皆様方の意見等もお聞きし、町民の皆様に喜んでいただける利便性に優れた施設となるよう整備していきたいと考えております。
企業立地等の動きについては、一昨年、昨年と好調な動きが続いており、本年度も積極的なトップセールスによる企業誘致活動に取り組むとともに、町内企業との情報交換を密に行い、更なる増設、雇用の拡大に努めます。
また、求人情報の提供を積極的に行い、働く場所の確保に努めます。
山の再生と孟宗竹等を活用したバンブーフロンティア事業については、バンブーフロンティア(株)、バンブーマテリアル(株)2社の竣工式が2月に行われ、ゴールデンウィーク後からは、機械設備の調整と併せ、試作品の製造が始まっております。
事業の成功のためには、竹の安定的な供給が必要であり、町としては、地方創生の観点からも、関係市町村との連携や、引き続き、庁内の横断的連携により企業と竹林所有者との調整・協議等の支援を行いたいと考えております。
次に、税務住民課関係では、自主財源の根幹となる町税の確保を図るため、申告、納税の啓発を強化するとともに、公平性の視点から滞納者に対して実態調査の実施と捜査・差押えの強化及び県や玉名郡4町での併任徴収委託契約を継続し、併せて合同公売会、不動産公売会、インターネット公売を実施し、滞納者への徴収強化及び収納率向上に努めます。
町の環境美化に向けては、「南関町環境美化に関する条例」を制定し、「地域環境美化促進計画」に基づいて、清潔で美しい町づくりを目指して、住民の協力による美化活動を全町で実施しているところであります。
また、ゴミ減量化に向けた取り組みとして3Rを徹底し、循環型社会の構築に向けた環境美化意識の高揚を図るための総合的な啓発活動を行って参ります。
更に、温室効果ガスの排出抑制のための措置として、平成28年7月1日に熊本県では初めて、地球温暖化対策を目的に国が推進する運動である「クールチョイス」への賛同を宣言し、昨年9月からは、町内の事業所や各世帯から発生した廃食油を回収してバイオディーゼルエンジンの燃料として利用することといたし、既に町内事業所での利用が始まっております。
今後も、温暖化防止に向けて、より一層の取り組みを推進します。
また、和水町との2町で運営しているせきすい斎苑については、大規模改修工事に伴う火葬炉選定支援業務を行うこととしております。
次に、福祉課関係では、南関町地域福祉計画に基づき、「誰にでもどんなときにもやさしいまちづくり」を基本理念に、高齢者・障がい者支援等の各種福祉施策に取り組むとともに、人権啓発の推進に努めて参ります。
子育て支援関係では、子育て世代包括支援センター機能とファミリーサポートセンター事業の充実により、妊婦期から子育て期にわたるまで切れ目のない支援を実施するとともに、各種子育て支援事業の周知と利用促進により、安心して子育てができる環境づくりに努めます。
介護保険事業では、昨年度から始めた新しい総合事業を推進していくとともに、地域密着型介護施設1か所の開設、各地域で実施されている元気づくりシステムの充実や、これまで取り組んできています介護予防事業の強化を地域包括支援センターと連携しながら進めて参ります。
国民健康保険は、今年度からの新制度施行、県による財政運営へ移行されており、町として必要な税収の確保と財政の健全化等に取り組みます。
また、保健センターとともに、保健事業の充実を含め、疾病の早期発見、治療に繋がる各種健診の受診勧奨等による医療費の適正化と健康づくりの推進に努めます。
次に、経済課関係では、本町の基幹産業である農業は、就農者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、依然厳しい状況にありますが、本年度の南関町がまだす隊の総会では、新規加入者が6人もおられ、今後の活躍に大きな期待をしているところであります。
農政の中心としては、引き続き圃場整備を推進し、農地の集約や営農組織の設立に繋げ、コスト削減を図りながら、担い手農家の確保、農業所得の向上に努めて参りたいと考えております。
また、後継者を心配される農家においても、農地の貸し借りや作業の委託を安心してできる体制づくりを進めます。
有害鳥獣対策につきましては、駆除委託や防護柵の設置補助等を行いながら、駆除のための新たな担い手の確保・育成を図って参ります。
町の観光の振興については、集客力がある「ふるさと関所まつり」、「古小代の里陶器・梅まつり」を中心に、本年で3回目を迎える「いす-1GP」等の開催や様々なイベントを支援するなど、南関町のすばらしさを全国に発信して参ります。
また、大牟田市、玉名市を中心市とする定住自立圏の構成市町及び長崎県島原市等との広域連携を強化し、PR活動や相互出店を図り、観光客・修学旅行生等の誘致に努めます。
旧石井邸(白秋生家)の保存整備については、国の登録有形文化財への登録を進めており、6月4日には、文化庁より現地視察に来られ、年度内の登録に向けて調整をしていきたいと考えております。
また、ふるさと納税からの基金充当が3年目となり、本年度中には約1億円の整備資金が見込まれますので、登録手続きと並行して全体計画も進めていく必要があります。
南の関うから館については、現在の指定管理者との契約期間が今年度で最終年度となり、温泉施設としての在り方やコンパクトシティ構想との関連からも、町民の皆様に役立てる新たな活用方法等も含めて検討していきたいと考えております。
次に、建設課関係では、まず、道路、橋梁等の維持管理で、町道の舗装については、維持管理修繕計画に基づき北の辺田~野田線、迎町~八田線等の修繕工事を行い、橋梁については、長寿命化修繕計画により、関町の南関橋の補修工事を行うこととしております。
トンネルについては、松風トンネル坑口の補修工事及び鬼王トンネルの調査測量設計業務を行う計画としております。
町道改良工事等については、町道関村~田原線、南関中学校線改良工事のほか、コンパクトシティ構想にも関連する町道田町~堀池園線の測量・設計及び用地取得などを行う計画であります。
また、町営住宅は、小原団地改善事業として、3棟の外壁・屋上防水工事を行うこととしております。
県工事としては、関川の河川改修に伴う八重丸堰関連事業では、揚水試験と併せて補償費の算定を行い、県道大牟田・南関線(落合の狭所部分)の用地取得、北開地区、前原笛鹿地区、北の辺田地区の急傾斜対策事業をはじめ、国・県道の歩道整備や改良事業に取り組む計画であります。
最後に、教育課関係では、昨年度までに、小中学校の校舎、屋内運動場の耐震改修、屋内運動場の吊り天井改修工事や小中学校の普通教室へのエアコン設置等も完了したところであります。
今年度は、第4小学校校舎の屋上防水工事の設計業務委託を行うこととしており、改修により施設の安全性を高めたいと考えております。
幼児英語教育事業については、本年度で2年目を迎えますが、グローバル社会の進展の中で、英語の重要性が益々高まっており、幼児期から英語に親しむことにより、小中学校における英語教育の一貫した指導システムの構築、英語教育全体の充実に繋げたいと考えております。
町教育大綱の理念は、「町づくりは人づくりから」であり、南関町の小中学校で学んでよかったと思えるような教育と南関町に住んで、共に学び、生きがいが実践できる生涯学習を推進する必要があります。
また、地域とともにある学校づくりを目指し、コミュニティ・スクールの充実を図り、学校応援団やボランティア団体等との連携により、地域ぐるみでの子育てを推進したいと考えています。
また、地域住民の声を反映できる開かれた行政運営の推進のため、皆様方のご意見やご要望を伺う地域懇談会を毎年開催しておりますが、本年度も引き続き開催するとともに、町政に対する理解を深めていただくための「南関町協働のまちづくり出前講座」についても、広く周知して積極的に計画していきたいと思います。
以上、申し上げてきましたが、これらの事業を推進していくには財政基盤の確立が最重要課題であります。
これまで以上に行財政改革を進め、徹底的に無駄をなくし、あらゆる経費の縮減を図るとともに、事業の推進につきましては、それぞれの事業の重要性・必要性を鑑み、優先順位をつけながら着実に事業を展開していく考えでございます。
最後に、町職員の意識改革についてですが、職員一人ひとりが、地域住民の皆様の意見や要望を理解し対応できるよう育成に努めるとともに、全ての職員が笑顔で挨拶ができるような明るい職場づくりを推進していきます。
このような重点施策を中心に、引き続き、「産み育てやすい環境の整備」「住む場所と働く場所の確保」「高齢者や障がいがある方も安心して暮らせる環境の整備」を町づくりの3本の柱として、地域住民の皆様方に本当に住んでよかったと思っていただけるような誇れる協働のまちづくりに取り組んで参る所存でございます。
今後とも、なお一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、平成30年度町政運営の施政方針とさせていただきます。
平成30年6月12日
南関町長 佐藤 安彦