南関米を食べることは、おいしさを味わうだけではありません。
その一杯が、南関町の農業と地域の未来を支える力になります。
諏訪川(関川)の源流、南関町
大牟田市内を流れる諏訪川の源流は、南関町にあります。
熊本県内では「関川」、福岡県・大牟田市内では「諏訪川」と呼ばれる、一本の川です。
令和2年(2020年)7月豪雨では、大牟田市内だけでも死者2人、重軽傷9人の人的被害が発生しました。
さらに、大牟田市の面積の約26%が浸水したというデータ(※1)もあるほど、多くの地域が浸水し、床上浸水1,266戸・床下浸水1,054戸の甚大な被害が発生しました(※2)。
田んぼがもたらす恵みの中で、⾬⽔を⼀時貯留し、下流の急激な増⽔を抑制する「天然のダム」効果があることに触れましたが、こうした背景のもと、南関町では「田んぼダム」の取り組みが広がっています。
南関の田んぼを守ることは、大牟田や荒尾の街の安全と暮らしを守ることに、つながっているのです。
危機に瀕する南関の田んぼ
しかし今、その「天然のダム」が、次のような理由で急速に失われつつあります。
コメ消費量の減少
日本人の一人当たりのコメ消費量は、下図のとおり約60年で半分以下に減少しました。

(出典)農林水産省ホームページ、食糧需給表
耕作放棄地の増加
この「コメ離れ」は、生産現場にも深刻な影響を与えています。
下図の通り、南関町の耕作放棄地は10年間で2倍以上に拡大し、町内農地の約3分の1に及びます。

(出典)南関町農地台帳集計表
また、航空写真で南関町の様子を比較すると、稲作最盛期(1960年代)に比べ、森林や耕作放棄地が増加している様子がうかがえます。

1960年代の南関町(豊永・上坂下周辺)の様子

現在の南関町(豊永・上坂下周辺)の様子
(出典:国土地理院ホームページより)
生産者の高齢化
この問題に生産者の高齢化が拍車をかけています。
下図のとおり、南関町は、熊本県はもとより、玉名地域全体と比較しても高齢化が進んでいます。そして、高齢化の進行は、将来的な生産者の減少を意味しています。
(出典)農業センサスの基幹的農業従事者数より算出。推計値は回帰式により算出。
イノシシ被害の増加と農地管理
この状況に追い打ちをかけるように、南関町では、近年イノシシによる稲作被害が深刻化しています。イノシシは稲を食べたり踏み荒らしたりするほか、水田で泥浴びをすることで、稲の汚損や商品価値の低下を招きます。

(出典)令和8年度南関町鳥獣害被害防止対策協議会資料

(写真)イノシシに荒らされた水田
イノシシ増加の背景の一つとして、農業者の減少や高齢化、耕作放棄地の増加が考えられます。管理されない農地や周辺のやぶがイノシシの隠れ場所となり、農地への出没を招くという悪循環につながっています。
南関米を食べることは、地域を守ること
以上のことから、南関町の田んぼは、今後さらに減少していくことが懸念される、危機的な状況にあります。
南関米は、「おいしい」だけではありません。
上流域の田んぼを守ることは、大牟田市や荒尾市の水害リスクを抑えることにもつながり、私たちの暮らしと生活環境を守る大切な役割を果たしています。
おいしい一杯が、街を守る。
南関米には、田んぼと地域をつなぎ、未来へ引き継いでいく力があります。
参考
※1:定例市長会見 令和3年6月7日開催(大牟田市ホームページ)



