令和7年 第2回南関町議会定例会の開会に当たり、令和6年度補正予算案、令和7年度当初予算案、その他諸議案のご審議をお願いいたしますとともに、本定例会で施政方針を申し述べ、議員の皆様並びに町民の皆様に一層のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
昨年は、ここ数年にはなく、梅雨時期の集中豪雨や台風等による災害等が少ない穏やかな年であったように思います。
また、町の特産物である南関米や栗、野菜等も無事に収穫され、特に米の価格も平成に入ってからは、不作の影響もあり平成5年の1俵2万円が最高でしたが、30年以上ぶりに23,000円と過去最高額に上昇したところであります。
しかし、本年も1月13日に宮崎県日向灘を震源地として発生した地震のように九州各県をはじめ全国では、毎年大きな災害が発生しておりますので、今一度、全国で発生している災害がよそ事ではないことを肝に銘じながら防災管理体制を確実なものにしていかなければならないと考えております。
発生から5年になります新型コロナウイルス感染症につきましては、現在は落ち着いてはいるものの、季節性のインフルエンザと併せての予防も必要であり、この5年余りで私たちを取り巻く環境や経済状況も大きく変わり、食品や燃料をはじめ、すべてのものの物価高も続いており、安心して暮らすには難しい時代になっておりますので、町としても引き続きの対策を図っていきたいと考えております。
さて、国においては2024年の外国人を除いた人口移動報告が発表され、コロナ禍で一時は緩和された東京一極集中が再び進行し、感染拡大前の水準に戻っており、特に15歳から24歳までの若い世代の東京への転入超過は78,356人と群を抜いています。
TSMCの工場建設により大きな人の動きがあっている熊本県でさえも、県全体では1,542人の転出超過となっております。
また、2024年の出生数も1899年の統計開始以降最少だった23年の727,288人から5.5%減少し、69万人程度となるようです。
国立社会保障・人口問題研究所が23年に公表した将来推計では、24年の出生数は75万5千人で、70万人を割るのは38年と見込まれていました。
全国での人口移動や出生数の減少などの厳しい状況は南関町においても全く同じであり、国が進める地方創生の動きをしっかりと注視、活用し、町独自の政策強化を図る必要があります。
また、国では昨年の10月に実施された衆議院議員総選挙により与党の過半数割れで厳しい国会運営となっており、年収103万円の壁や高校教育無償化、選択的夫婦別姓法案などと、予算案修正も含めて、どうすれば当初予算を可決できるかが大きな焦点でもありました。
更に、アメリカ合衆国のトランプ大統領が再就任したことにより、日米安保や貿易などの大きな問題がどう進むのかにより、国や国民の皆さんの不安が高まることも考えられます。
このようなときであるからこそ、国民の生活を第一に、引き続き地方の活性化が図られるような地方創生等の取り組みをしっかりと行っていただき、誰もが安心して暮らせるような政策を進めていただきたいと願うものであります。
さて、国において閣議決定されている令和7年度一般会計予算案については、社会保障関係費や防衛費の増加により、前年比2.6%増の115兆5,415億円と3年連続で110兆円を超え過去最高を更新しました。
歳入では、税収が法人税や消費税等が好調なことから12.7%増の78兆4,400億円と過去最高額を計上し、新規国債発行額は17年ぶりに30兆円を下回る水準となっています。
歳出では、社会保障関係費、防衛費に加え、物価に負けない賃上げの実現や構造的な変化と社会課題に対応するためのこども政策、デジタル・GX、防災減災対策等への充実に向けた施策に重点配分されております。
歳出の主要経費別では、社会保障関係費が、1.5%増の38兆2,778億円と、これまで同様に過半を占めており、防衛関係費、公共事業関係費、国土強靭化関係予算、文教・科学振興費等が大きな予算額となっています。
町として一番気になる地方交付税総額は、1.6%増の18兆9,574億円となりましたが、財政不足を補うために発行する臨時財政対策債の発行額は、平成13年度の制度創設以来、初めてゼロとなっております。
中でも、「こども未来戦略」に基づく子ども・子育て政策を本格的に実行するため、児童手当の拡充、地域の実情に応じた子ども・子育て支援、仕事と子育てなど誰でも無理なく安心して子育てができる社会への転換等へは7兆3,270億円が計上されております。
DX・地方創生関係については、「デジタル田園都市国家構想」の実現による地方の社会課題解決・魅力向上の取組を加速化・深化する観点から、観光や農林水産業の振興等の地方創生に資する取組や拠点施設の整備など、各地方公共団体の意欲的な取組を支援するためのデジタル田園都市国家構想交付金には、前年度比20%増の1,200億円が計上されています。
このような中で、本町の人口は、令和7年1月末で8,636人と、前年の1月末より200人の減となっており、高齢化率も42%となり、町の継続的な発展のためには、行財政改革による無駄の排除、更なる自主財源の確保に努めなければなりません。
今年度も地方交付税配分額は確保される見込みではありますが、柔軟に対応できる財政構造の構築と、うから館の改修は終わりますが、元役場・公民館の建物、跡地の整備、農村広場整備などと、多額の予算を伴う案件もあるため、今後も、中・長期的な計画を見据えた事業の展開が必要となります。
令和7年度も地方交付税や町税収入の安定した確保は見込めますが、厳しい状況が続くことに変わりはなく、地域住民の皆様方が安全・安心で心豊かに暮らせるような質の高い行政運営を行っていくことは、行政の責務であり、信頼される自治体として、分権時代にふさわしい行政サービスの提供に努めていきたいと考えております。
本年度も、いつ政策の転換が行われるかわからない国県の動き等も含めて柔軟かつ弾力的に対応しつつ、最小の経費で最大の効果を上げることができるような事業を推進するとともに、住民福祉の向上に努めて参ります。
そこで、今回ご提案申しあげております令和7年度一般会計予算でございますが、歳出全般にわたり細部までの検討を行い、経営の効率化、コストの削減を念頭におきながら歳出の抑制に努めるとともに、今必要な事業に投資をする中で、目的に沿った費用対効果を重視し、重要政策課題に重点を置いた編成を行ったところでございます。
令和7年度南関町一般会計予算の総額は、6,956,787千円で、昨年度と比較しますと、7.9%、509,051千円の増額となっております。
増額となりました主な要因は、総務費の旧庁舎・公民館解体事業209,528千円、基幹系システム標準化・共通化対応委託料68,788千円、町長・町議選費30,143千円など、計331,892千円の増となり、民生費でも、障害者総合支援給付金費が前年度より49,904千円増の397,548千円、障害児通所支援給付費が前年度より36,404千円増の126,072千円、児童措置費(児童手当)が前年度より67,180千円増の183,600千円など、計195,477千円の増で、総務費・民生費の前年度から増額となった合計額が527,369千円となっているためであります。
その他の議案の提出については、南関町敬老年金給付条例の全部を改正する条例の制定について、南関町職員の育児休業等に関する条例及び南関町職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてのほか条例の一部改正についてが1件、令和6年度南関町一般会計補正予算についてのほか各特別会計補正予算についてが4件、令和6年度南関町下水道事業補正予算について、令和7年度南関町一般会計予算についてのほか各特別会計予算についてが4件、令和7年度南関町下水道事業予算について、熊本広域行政不服審査会を共同設置する地方公共団体の数の増加及び熊本広域行政不服審査会共同設置規約の変更について、熊本市及び南関町における連携中枢都市圏の形成に係る連携協約の締結について、工事請負契約の締結について、南関町固定資産評価審査委員会委員の選任につき同意を求めることについてが3件を提案しています。
ご審議のうえ、ご承認賜わりますようお願い申し上げます。
それでは、令和7年度の主要な施策について申し上げます。
まず総務課では、町政70周年を祝う記念事業をリニューアルした「多世代交流施設ukara」のグランドオープンと併せた企画を計画しており、先達の残された功績を称えるとともに次の世代へ繋ぐこれからの南関町を考える良い機会と捉え、子どもから大人までが参加できる内容としています。
また、5年に一度の国勢調査の年であり、町民の皆様にもお手数をお掛けしますがご協力をお願いいたします。
財政運営の健全化、行政事務の効率化としては、町のデジタル化推進計画に基づき運用を開始している「公式LINE」を活用し、道路損傷や土砂災害等の相互通報機能や電子申請等の機能拡充を図り、住民の皆さんの利便性の向上に努めるとともに、町民一人ひとりがデジタル化の恩恵を享受することで、豊かさを実感できる「だれ一人取り残さない」社会の実現を目指し、スマートフォン等のデジタル機器の操作研修等に引き続き取り組んで参ります。
また、町民の皆様が、将来に希望を持って暮らしていただける「安全・安心なまちづくり」を実現するために、第6次行政改革大綱アクションプログラムの遂行に努めます。
その中では、質の高い行政サービスの提供と持続可能な地域社会の形成を目指し、職員の質の向上を図るため階層別研修や専門研修、時勢に応じた職員研修に取り組み、職員の能力向上及び行政課題や職場環境の改善に向けた意識改革を行い、町民の皆様から信頼され活躍できる職員となるよう、その育成に取り組んで参ります。
また、退職の状況や年齢構成等を考慮し、本町が必要とする職員像に合致する人材を採用するため、受験資格や試験時期など柔軟な見直しを行い、幅広く優れた人材の確保に努めます。
財政運営につきましては、近年の物価高騰による様々な経費の増加、旧庁舎解体事業やPFI事業などの大型事業が控えていることから、厳しい状況が見込まれます。
また、公債費がピークを迎えているため、今後は交付税措置が有利な地方債の発行を基本とし、新規発行を元金償還以下に抑えるなど、健全な財政運営に努めて参ります。
防災関係では、年々激甚化する災害に備え「地域防災計画」に基づき関係機関との連携を密にし、確実な情報伝達に努めるとともに、災害時に迅速に対応できるよう訓練を計画的に実施します。
また、全地区に組織されている自主防災組織の充実に努め、自助、共助意識の高揚を図るとともに、各組織での地区防災計画の策定に向けた支援を引き続き行い、防災に対する意識の高揚を図ります。
最後に、ふるさと応援寄付金については、昨年12月比で前年より7%の増額となっており、最終的には昨年度の寄付額を上回ると見込んでおりますが、近隣市町に比べ低い水準にあるため、ニーズ調査等を行い、返礼品の更なる魅力アップを図るための新たな取り組みを行うこととしております。
次に、まちづくり課関係では、町内4つの小学校区を基本とし、地域が持つそれぞれの特性を生かしながら南関町全体が持続可能なまちづくりを進めるための指針として策定した南関町地域未来構想を実現するために、令和4年度から南関町のまちづくりに資する公益的な事業を住民の方が自ら行う南関町住民提案型事業と、地域の賑わいと交流の場の創出を図る南関町マルシェ開催事業への補助を行なっており、各地域でそれぞれの団体による事業の実施により、協働のまちづくりと地域活性化が図られております。
住民提案型事業につきましては、令和6年度からは新たに町が設定した特に住民と連携し取り組む「テーマ設定タイプ」を設け、通常タイプ2件、テーマ設定タイプが2件の合計4件、マルシェ開催事業につきましては、令和6年度4件が実施されました。
今後も、より多くの方に事業を実施、或いは、事業に関わっていただき町の活性化に繋げたいと考えております。
うから館につきましては、集会交流機能と飲食機能、図書館機能に広場を備えた多世代交流拠点施設として生まれ変わるため、現在、改修工事を行っており、愛称をローマ字表記の「ukara」としてリニューアルし、令和7年6月に集会交流施設のプレオープン、10月8日トッパの日をグランドオープンとし、カフェの開業と新図書館「このみch-i」の開館に向けた準備を進めて参ります。
定住の促進につきましては、第3期住んでよかったプロジェクト推進事業が令和7年度までの計画期間であることから、令和6年度に現在取り組んでいる事業の検証作業を行っており、総合振興計画の基本構想の将来像である「新しい空間と暮らしの中で、あらゆる挑戦を支える町なんかん」の実現のため、令和7年度に第4期に取り組むプロジェクト事業の取りまとめを行いますが、小中学生の給食費の無償化については、物価高や出生数の減等もあり、先行しての対応が必要であると考え、令和7年度からの実施としたいと考えております。
また、住む場所の確保として、令和6年度に旧南関分署跡地の宅地造成工事を行い、名称を「さくらタウン大津山」とし、4区画の分譲を開始したところであり、令和7年度には旧庁舎及び旧公民館の解体工事を行い、PFIを活用した敷地活用を行う計画であります。
増加する空き家対策としては、空き家に残された家財が大きな課題でもあることから、家財等の撤去への助成を行うことにより、次の方に空き家を活用していただけるように推進するとともに、特定空き家の解体への助成を行い、住宅用地の確保に努めて参ります。
企業誘致活動及び町内事業者への支援につきましては、令和6年に畜産飼料の輸入卸販売を中心に事業を行われている株式会社カスケディア・トレーディングの工場が竣工、また株式会社荏原製作所熊本事業所におきましては3棟目となる新棟が竣工するなど今後更なる産業の振興及び町の発展に繋がるものと期待をしております。
また、株式会社熊本硅砂鉱業の岩石採取跡地を活用した約10haの「南関みらい工業団地」への企業の誘致や、F-WAVE株式会社では、次世代樹脂屋根材の新工場の年内着工も計画されており、今後も町内企業との情報交換を密に行い事業者に寄り添った支援を進めて参ります。
次に、税務住民課関係では、自主財源の基礎となる町税を確保するため、申告及び納税についての周知及び啓発を継続していきます。
特に、税の公平性に基づき、滞納者に対しては実態調査等をはじめ、捜索や差押を行っていくとともに、併任徴収業務についても、熊本県や玉名郡四町においても引き続き連携し、合同公売会並びにインターネット公売等により徴収強化を徹底し、税収納の向上に努めます。
マイナンバーカードついては、休日の窓口開設や水曜日の時間外受付のほか、来庁できない人への出張受付を実施しており、町内4ヵ所の郵便局においても受付業務を継続し、普及促進を図ります。
また、マイナンバーカードによるコンビニ証明書交付業務についても、住民票及び印鑑登録証明書の交付を行いつつ、マイナンバーカードの利活用推進を図るとともに、書かせない窓口の普及、周知に努め、更なる住民の利便性の向上に向け取り組んで参ります。
町の環境美化については、清潔で美しい町づくりを目指すため、熊本県環境月間における「町内一斉クリーン作戦」や「くまもと・みんなの川と海づくりデー」に合わせた道路・河川等の清掃活動などによる美化活動を続けることにより、町民が主体となった美化活動を実施することで、美化意識を高揚させつつ、住み続けたい町へと繋げていきます。
また、クールチョイス普及啓発活動として、町内11カ所での廃食油回収事業を継続するとともに、食品用トレイ回収事業においても、回収実績が上回るよう努め、更なる地球温暖化防止に向けて取り組んで参ります。
次に、福祉課関係では、「南関町第4次障がい者(児)プラン」、「第7期南関町障がい福祉計画、第3期南関町障がい児福祉計画」を策定し、「障がいを持つ人も持たない人も、ともに助け合って暮らせるやさしいまちづくり」を基本理念とし、より一層の福祉施策の充実を図り、誰もが安心して暮らせる支援体制と環境の整備に努めます。
また、高齢化率が42%となった本町では、一人暮らしの高齢者も多く、住み慣れた地域で安心して自立した生活を継続できるよう見守り支援が必要であります。
町では、そのような地域での見守り支援を行うために、「南関町ひとり暮らし高齢者等見守りネットワーク事業」を展開し、高齢者世帯に限らず、在宅の障がい者や、特に認知症の高齢者については徘徊の恐れもあることから、事前に登録していただくことにより、いざというときにネットワークにおける連携ができるものとしております。
更に、成年後見制度利用促進を円滑に利用できるよう、中核機関を令和7年度より設置するとともに、今後も社会福祉協議会との連携を図り、町内の関係機関や団体、事業所にも協力をいただきながら、より一層の支援に取り組みます。
地域における子育て支援については、すべてのこども・若者が、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、おかれている環境等にかかわらず、ひとしくその権利の擁護が図られ、身体的・精神的・社会的、将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる社会づくりを責務としています。
町においては、すべての妊産婦、子育て世帯、こども・若者に対し児童福祉・母子保健の両機能が一体的に相談支援を行うために、子育て関係の窓口を集約し、「こども未来推進室」を設置しており、安心して出産・子育て、成長ができるよう相談体制を強化するとともに、社会資源の活用により、対象者に寄り添った支援を行って参ります。
保健事業においては、令和5年度から高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業に取り組み、健康診査の結果から重症化にならないための食事や生活面での保健指導を実施しており、医療費の適正化を図るとともに、介護予防との連携により健康寿命の延伸に向けて引き続き専門職による訪問指導を実施して参ります。
次に、健康推進課関係では、感染症の予防対策として、既存及び新たな感染症の感染拡大抑制のため、関係機関との連携を維持しながら、感染症防止対策の周知・啓発を図ります。
健康づくりにおいては、「第4次南関町健康増進計画・第3次南関町食育計画」に基づき特定健診や各種がん検診など、ライフサイクルに応じた健康診断体制や健康教室及び健康相談・保健指導・栄養指導の充実を図るとともに、高齢者の保健事業と介護予防事業の一体的実施事業を継続することで、更なる心身の健康づくり推進と健康寿命の延伸を目指します。
介護保険制度の充実と介護予防事業の推進では、「誰にでもどんなときもやさしいまちづくり」を基本理念とした「第9期南関町高齢者福祉計画及び介護保険事業計画」に基づき、総合事業の推進と地域包括支援センターを核とした地域包括ケア体制の充実・強化、及び元気づくりシステムをはじめとした介護予防の強化を図るとともに、保健事業との連携によるフレイル対策と自立期間の延伸を目指します。
また、現在53集会所等で実施している元気づくり体操(元気づくりシステム)の全国大会をグランドオープン後の「ukara」で開催する計画としており、元気高齢者の増を図るためにも、大会の中では町としての決意のため、「健康寿命日本一を目指す町」宣言を行いたいと考えております。
次に、経済課関係では、本町の基幹産業である農業は、就農者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、依然として厳しい状況にありますが、地域計画策定の協議で明確化した将来の農地利用の姿と課題に対して地域と一丸となって解決を図って参ります。
また、昨今のコメの価格上昇により、米作りが中心である南関町の農業にも大きなチャンスとなることが考えられますので、ブランド化や出荷先、ふるさと納税の返礼品等も視野に入れた取り組みを推進します。
更に、南関町産業経済費補助金の強化や水田の暗きょ排水事業費補助金、有害鳥獣防護柵設置補助等による支援を継続し、新規就農者や後継者の育成にも力を入れて参ります。
農政の中心としては、現在も事業の柱として展開している圃場整備であり、全20地区の担い手の確保、農地の集積・集約化を考慮しつつ事業を推進して参りますが、令和3年度から工事に着手した上長田地区15.4㏊が本年度完了予定となっており、現在工事中の日明・今地区12.6㏊をはじめ、令和7年度は、長山東地区12.8ha、久重南地区5.3haが工事に着手することになります。
また、その他の地域においても、整備に向けた組織づくりを進めており、早期着工が出来るように計画地の後押しを進めます。
これからの事業活動により、農地の集約や営農組織の設立に繋げ、コスト削減を図りながら、担い手農家の確保、農業所得の向上に努めて参りたいと考えております。
また、6期目(R7~R11)となる中山間地域等直接支払交付金・55集落や3期目(R6~R10)となる多面的機能支払事業交付金・19保全隊により、引き続き、農業集落の環境整備等にも取り組みます。
喫緊の課題でありながら、困難な問題でもある有害鳥獣対策につきましては、地域ぐるみでの対策として「えづけSTOP対策事業」を町内全域で推進するとともに、猟友会、捕獲隊、JA、各地域等と連携し、捕獲従事者の確保と一層の支援を図り被害防止対策を推進します。
加工品開発センターは、南関ふるさと応援団を指定管理者として運営していますが、今期より指定管理運営費を設けておりますので、これまで以上に一般の方や各種団体、ふるさと応援団の会員にも有効活用いただくとともに、町からの要望等も協議し、新たな商品やふるさと納税の返礼品等の開発としても幅広く活用されることを期待しております。
次に、建設課関係では、これまでの新庁舎建設整備、うから館の改修事業などと多額の費用を要した事業がほぼ終了することとなり、国の令和6年度道路関係補正予算でもほぼ100%の予算獲得が出来ましたので、政策事業としての路線についても令和7年度への繰り越し事業も含めての工事完了に向けて事業を進めて参ります。
まず、政策道路として進めている道路改良工事の計画は、町道米田~鬼王線(臼間工区)、小原~上長田線、関村~田原線の3路線が令和7年度で完了する計画となっており、尾田~高久野線は令和10年度の完了の計画で取り組みます。
要望道路においても、向原線、荒井~八角目線、草村~高久野線、鬼王トンネル坑口斜面補修などの改良・補修工事行うとともに、圃場整備事業と併せた事業としても計画を進めて参ります。
住宅関連では、松風団地外壁改修工事の最終となります(3期目)に取り組むとともに、大津山団地建替事業に係る2年目となるPFIアドバイザリー業務委託を進め、旧庁舎・公民館等の解体を行います。
また、災害関連事業では、令和6年に発生した公共災3件、農災11件を契約繰り越し事業にて復旧予定であり、令和2年発生の関外目立山地区の地すべりについても、事故繰り越しにはなりますが、令和7年度への契約繰り越し事業として復旧工事に入る計画としております。
県負担金事業としては、「交通安全施設」として、国道443号、玉名八女線(鬼王地区)を、「単県道路改良事業」として大牟田南関線(落合交差点部)が計画されています。
また、「河川改修事業」としては、関川河川改良事業として(八重丸堰、堀池園地区)を、内田川河川改良事業として(上坂下地区)が計画されています。
更に、「砂防関連事業」としては、宮尾川(宮尾地区)と小山川(相谷地区)を、「急傾斜地崩壊対策事業」としては、善行寺地区(小原地区)が計画されており、このほかにも国・県道の歩道整備や改良事業の要望書も提出しておりますが、県全体の事業調整の関係からも、県の予算獲得の状況に応じて対応いたします。
水道係関係では、公共下水道事業を企業会計へ移行して5年目、浄化槽事業は2年目となりますので、安定経営に取り組むとともに、専用水道5施設、飲用水供給施設9施設も含めて、一層の事業改善に努めて参ります。
また、引き続き、河川環境の保全を目指し、下水道・浄化槽の加入促進を図ります。
次に、教育課関係では、熊本県教育委員会が掲げる「夢への架け橋」教育プランに基づき、誰も取り残さない学びの保障として、ICTの効果的な活用による 協働的な学びや個別最適な学びの工夫を通して、児童生徒を学びの主体にする取組を推進し、子ども達が安全に安心して過ごせる居場所づくりに努めます。
また、近年の全国的な少子化に伴い、本町でも各学校の小規模化が進んでいる状況について令和6年度より「南関町立学校の在り方検討委員会」を設置しており、町立学校のこれからの教育や少子化に対応した新たな学校規模などの学校のあり方について協議を行い、検討委員会での答申を踏まえて将来の南関町立学校の在り方についての方向性を示していきます。
社会教育では、「子どもを中心に、学校、家庭、地域、行政」の五者連携・協働の一層の取組推進を図り、地域コミュニティの核となる学校づくりに努めます。
特に、児童生徒が主体となって企画・運営する体験活動や地域活動を通じて、児童生徒のキャリア教育の充実に繋げていきます。
また、生涯学習の視点から地域の方々がこれまで培ってこられた知識能力の場として、子ども達との交流を充実させます。
社会体育では、農村広場一帯を総合運動公園と位置づけ、競技施設中心の整備にとどまらず、インクルーシブの視点を取り入れた、多目的な広場や親子や多世代で、誰もがのびのびと利用できる施設の空間づくりを進めます。
加えて自治体間の広域的(定住自立圏)な連携も図られる中で、広域的な各種イベント開催や県大会等の誘致などを見据えた整備を行います。
また、中学校部活動の地域展開については、これまで本町で培ってきた先行実践を基に、国や県と連携して部活動の地域展開に向けた取組を加速させて参ります。
文化財関係では、旧石井家住宅の保存活用に関しては、地域や住民からいただいた意見を踏まえて、一般公開に向けてしっかりと保存整備を進めて参ります。
また、整備後の活用についても、児童生徒への教育的啓発の取り組みや白秋及び南関町を全国に向けて発信する取り組みも併せて進めていきます。
以上、申し上げてきましたが、これらの事業を推進していくには財政基盤の確立が最重要課題であるとともに、町議会、町職員、町民の皆様方の連携が重要となってきます。
コロナ禍により一時的に疲弊した経済状況も完全に戻ったという状況にはありませんので、これまで以上に行財政改革を進め、徹底的に無駄をなくし、あらゆる経費の縮減を図るとともに、事業の推進につきましては、それぞれの事業の重要性・必要性を鑑み、優先順位をつけながら着実に事業を展開していく考えでございます。
最後に、町職員の住民サービスや意識改革についてですが、個人差はあるものの、職員一人ひとりが高い意識をもって、地域住民の皆様の意見や要望を理解し対応できるよう育成に努め、全ての職員がやる気と希望を持ち、笑顔で挨拶ができるような明るい職場づくりを推進するとともに、人事評価の運用による職員の能力開発を促進して参ります。
このような重点施策を中心に、令和7年度も「産み育てやすい環境の整備」「住む場所と働く場所の確保」「高齢者や障がいがある方も安心して暮らせる環境の整備」を町づくりの3本の柱として、地域住民の皆様方に本当に住んでよかったと思っていただけるような誇れる協働のまちづくりに取り組んで参る所存でございます。
今後とも、なお一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和7年度町政運営の施政方針とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。